第3話軽トラック
『軽トラ一台から始まった、鉄くず拾いの旅part2』

相変わらず固定客がいるわけでもなく、
その日も軽トラックで当てもなく走っていた。

「今日はどこかに鉄は落ちてないか…」

そんなことを考えながら走っていると、突然、ガラケーが震えた。

「もしもし、○○電気ですけど。」

あ!!1週間ほど前に名刺を渡したお客さんだった。
名刺を見て電話をくれた初めてのお客さんだ。

「スクラップがあるから見に来てほしい」

そう言われ、胸が騒いだ。
すぐに軽トラを走らせて向かった。

■ 初めて見た“銅の屋根”

現場に着くと、視界に飛び込んできたのは――
美しく光り輝く金属の板が、まるで鏡のように並んでいた。

「これは…?」

お客さんが言った。

「銅の屋根なんだけど、持っていける?」

「…………ん? 銅?」

鉄は知っている。
アルミもなんとなく分かる。
でも“銅”は完全に未知の金属だった。

銅の価値がわからない、

お客さんの表情からうかがい知れるのはたった一つだ・・

鉄よりは高い・・絶対に高い!

頭の中が真っ白になった。

適当な値段を言うわけにもいかない。

「ちょっと待ってください! 値段を出してみます!」

私は軽トラに駆け戻り、震える手で携帯を取り出した。
スクラップ相場のサイトを開く。

その瞬間――
目を疑った。

「……え? 鉄の20倍…?」

銅の相場は、鉄の比ではなかった。
むしろ“別世界の金属”だった。

改めて現場を見る。
並んでいる銅板は、少なく見積もっても数百キロ。
買取に必要な金額を考えた瞬間、背中に冷たい汗が流れた。

ぜんっぜん足りない。

今の私の軍資金では、とても買える量じゃなかった。

■ 正直に話すしかなかった

「どうしよう…」
喉がカラカラに乾いていく。

適当な理由をつけて断るか?

いや、それをしたら二度とチャンスは来ない。
家族の顔が頭に浮かんだ。

よし――正直に話そう。

私は腹を決めて、お客さんの前に立った。

「ごめんなさい。
正直に言います。
私は今、そんな大金を持っていません。
この場ですぐにお支払いはできません。」

一瞬、お客さんは驚いたように目を見開いた。

だけど私は続けた。

「ですが…
この銅を売れば必ずお金に変えられます。
売ってお金を持って戻りますので、
もしよければ――私に売っていただけませんか?」

心臓が破裂しそうだった。
断られるかもしれない。
怒られるかもしれない。
“信用のない若造”だと思われて終わりかもしれない。

それでも、言うしかなかった。